魚や

毎朝三時ごろからガラガラと木箱の車を押して女の人たちが船着き場に出かけて行く。
自分たちの夫や息子、娘や嫁たちが捕った魚を車に仕分けして入れるためである。

そして海岸にづらりと並んで「魚いりゃんへんか、朝あげのピンピンやでー」と買い物の客たちに声をかける。
この長々とならんだおばさんやおばあさんたちのかけ声が尾道らしい雰囲気である。安い上に生きがよく、他ではなかなか見られない風景である。

とくに箱のところに一本のつりばりの形をしたものに、あなごの目をとおしたものが十枚くらいつるしてあって、それを一尾づつ器用に半分にさいてゆく。

私はあなごが好きでよく買ったものである。

夕方になると「夕あげのピンピンー」とおぢさんが声をかけてくる。おぢさんは「ほーら、まけときまっせ」とひとにぎり多く入れるとてんびん計りのサオがピーンと上がって本当にたくさん買った気持ちになる。

火ちりんに火をおこして網をかけ焼きながらお醤油にジュッと音を立てて食べる。
最高においしい。落語の目黒のサンマの話通り、どんな魚でも生きの良いのが一番である。

もう一度こんな生活がしてみたいと思うが夢のまた夢である。




にほんブログ村 シニア日記ブログ 自分史・自伝へ
にほんブログ村

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック